2016年11月28日月曜日

「この世界の片隅に」を見てきた

その成り立ちや、「のん」の起用による醜聞など、何かと話題のアニメ映画「この世界の片隅に」を見てきた。アニメとして興味があったわけでなく、その周辺の話しも含め興味深いと思ったので、公開されたら見に行こうと思った次第。

で、感想らしきものをバラバラと残しておく。いろんな角度や観点で見れる作品ということもあって、感想と言っても言葉に書きやすい部分だけをメモ程度に。ネタバレしないように書くつもりだが、これから見ようとする人は読まないことを推奨。ちなみに、私は事前に原作を流し読みしたこともあって、その差に関しても書くと思う。

※2017/01/14 再度4回視聴
  • 正直、原作は退屈で、眺めた程度だった。なので映画もつまらないだろうなあ、と思っていた。ところがどっこい、映画は限られた時間に詰め込んだせいなのか狙ってなのかわらないが、すごくテンポよく話しが進み、退屈ではなかった。むしろテンポ良すぎで退屈などしているヒマがない。でも、すずさんのおっとりした雰囲気はよく表現されているんだよなあ。
    退屈だと思ったものがこんなに見やすくなるなんて、という衝撃。原作とその映画化は何かと物議を醸し出すものだが、この作品に関しては奇跡のマッチングじゃないだろうか?
  • 事前の評論で「綿密な描写」について語られていたのだが、その辺に鈍感な私には「まあ言われてみれば」というところ。でも、すずさんが絵を書いているところなど、何気ないところでも臨場感あるなあ、と感じた。
  • 空襲が始まるあたりからのペースチェンジによる緊張感の煽りが秀逸。緊張感を持たされた上ですこし緩んだかと思ったら。。。
  • 1つ引っかかったシーン。すずさんと清美さんに降り掛かったあの悲劇のときの演出が???となって若干萎えた。あの演出の意味が分かれば納得できるのだろうか?
  • 終盤、すずさんと病床のすみちゃんが話すシーン。「いや、それもうだめだから。。。」と思ったところでコトリンゴの歌が、、、ここは感情の高ぶりを抑えられなかった。2回目は分かってたのに泣いた、というより2回目のほうが泣いた。岡田斗司夫が「泣くな」って言ってたけど私には無理だった。
  • すずさんのセリフ「この世界の片隅に、、、」のところは、さすがにもう少しタメて欲しかったなあ。というか、すずさんはこんな文学的な表現する人じゃないだろ。これが一番気に入らないところかな。。。
  • 白木りんについては、原作における重要なある関係が省略されているのか、どこかに暗示されているのか、結局わからず終いだった(無論、エンドロール以降も見た上での話し)。個人的に、あの関係がないとすずさんの心情描写がピンと来なくなるから、きっとどこかに暗示されているはずだと思うのだが。私が見逃しているだけ?
    ※エンドロールのところで周作と絡んでいるようにも見えるところがありましたね。3回目の視聴で確認
  • これは原作で感じたことだが、すずさんの心理描写が超リアル。映画もそれを踏襲している。
  • 「戦時中の日常」が描かれている作品なのだが、しっかりすずさんの成長譚にもなっているのがいいね。
  • 「戦時中の日常」が描かれている作品なのだが、これは非日常だろ、というシーンもある。でも、これはやっぱり日常を描いてるんだよね。押井守がスカイ・クロラで描いた日常と非日常の対比が私は好きなのだが、それすら陳腐に思えるくらい。高畑勲が押井守に「貴方の言う日常って何なんですか!?」と怒鳴った、という鈴木敏文が話したエピソードを思い出した。
  • そうだよ、戦争ってきっと庶民にとってはこんな感じなんだよ。
  • ライムスター宇多丸が「客のリテラシーを要求する」と言っていたがちょっと違っていて、「知ってても面白い」「知ってるから面白い」がふんだんに散りばめられている、という印象。
  • 何が良かったの?と問われてもうまく答えられないが、今のところ何度でも見れそう(現在2回)。
  • 4回目の視聴で気がついた。とあるラブシーン中に挟まっている映像、あれ何?幾つか想像できるけど確認できず。コマは早すぎて登場人物まで確認できない。
若干、言葉にしにくいことを言葉にしてしまったところもある。追記はいろいろできるけど細かいところはもういいかな、と。

あと、新聞紙上でも主力紙がこぞって賞賛しているのに、テレビキー局は相変わらずのようですね。でも、なんだかんだ言って見る人を選ぶものだと思うので、テレビでく紹介されたところで「君の名は。」のようなヒットにはならないだろうが、このままテレビではスルーされるのかしら?本当にカンヌあたりで賞とらないとテレビでは紹介されないのかな?でも、のんが声優を務めたのも独立騒動があったからにほかならないだろうから、ある意味感謝。
※2017/01/14追記:民放テレビでも放映されているようですが、のんはほぼスルーのようですね。テレビ製作者の気遣いがよく表れてます(笑)